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Tシャツマニアの審美眼

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Tシャツマニアの審美眼

Tシャツマニアはここを見ている!
縫製・デザイン・素材の3つの視点で今季品に切り込んでいく。

近年ビジネスシーンでも受け入れられつつあるTシャツ。
ファストファッションやカジュアルブランドのみならず、ハイブランドやスーツブランドでも取り扱いが増える中、
「生地がいいんだろうな」となんとなく思いつつも、正直、ほとんど同じに見える方も多いはず。
実は奥深いTシャツの世界を、マニアの目を通して覗き見してみましょう。




縫製

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ビジネスにも取り入れられるちょっといいTシャツを探すなら、首元の縫製は要チェック。
Tシャツの襟部分の素材を「フライス」と呼びますが、ボディとフライスの継ぎ目にステッチ(縫い目)が出ているかどうかで印象が大きく異なります。
ビジネスシーンで採用するならステッチの無い、すっきりした仕様のTシャツがおすすめ。




↑ボディとフライスの継ぎ目のステッチが表に出ないように縫製されている。




↑80年代ヴィンテージTシャツに多い、継ぎ目のステッチが表面に出る仕様。
カジュアルなデザインで、洗濯による色落ちやヤレ感などの経年変化が出やすい。








↑アメリカンブランドに多い「バインダー」と呼ばれるフライス仕様。
フライスがボディを挟み込むように取り付けられ、表面にステッチと段差が生じるカジュアルな仕様だ。







ジャケットを羽織ることを想定したビジネス目線の「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」は、後ろ身のフライスが高くなっているのも注目ポイント。
ジャケットの襟が肌に直接触れないので、汗や整髪剤での黄ばみを防いでくれます。




デザイン

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Tシャツのシルエットを左右するのがボディの幅と袖山の高さ。
袖山の高さとは、円柱状の袖布から肩の頂点までの高さを言います。
「袖山が高い(長い)」というのはスーツのような袖付けを指し、立ち姿がきれいに見える袖付けの事。
「袖山が低い(短い)」というのは、Tシャツらしい袖付けを指し、可動域が広くゆったりした着心地が特徴的な袖付けとなります。




@Ladi`s Pattern Cutting 「婦人の体形とパターン」 http://park7.wakwak.com/~techno-sanshi/index.htm






↑袖山の高めな「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」




スッキリしたボディと高めの袖山が、肩のラインに沿った美しいシルエットを形成。
Tシャツでありながらゆるっとしすぎない、キッチリ感のある印象をもたらします。
また、袖山を高く設定すると、自然と袖幅も細くなるので、ジャケット着用時のもたつき感や膨らみも軽減できるのが嬉しいポイント。


素材

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着心地に直結する要素である素材。ここにもマニアの目は光ります。
世にある8~9割近いTシャツが「天竺編み」という組織素材を使用しているのに対し、「裏表」というものが存在しないのが「スムース編み」。
光沢感のあるツルっとした表面が、肌に触れる面にも表現されているので、肌当たりの良さをダイレクトに感じられるのが特徴です。




再三のご紹介となりますが「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」はビジネスシーンでも使える事をコンセプトにしたTシャツであり、同TEC.3シリーズのジャケットのインナーとして着ていただきたい一枚。
なので、素肌やタンクトップなど、直接肌に触れる着用を想定しており、肌当たりの滑らかさにはかなり気を遣った仕上がりとなっています。




↑スムース素材は濃色の色表現にも定評がある。深みのある光沢が美しい。




縫製

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先述の「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」をビジネス向けのキレイめ無地Tシャツとするなら、こちらはカジュアル向けのキレイめ無地Tシャツ。
晩夏に向けても着用できるよう、リブ編みによるニットライクな襟が特徴的。
ステッチ(縫い目)も表面にでており、ホームメイドのような温かみある雰囲気が魅力です。




↑ニットライクなリブ編みの襟。継ぎ目部分のステッチ(縫い目)が表に出ていることが分かる。




繊細な首の皮膚に触れるモックネックは、裏面の縫い代にも天竺袋と呼ばれる保護布を首一周に取り付けています。
さらに、一般的なクルーネックよりもやや前下がりに襟を設計することで、タートルネックやモックネック特有の詰まる感じを軽減。
着用者への配慮が縫製から伝わってきます。




デザイン

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デザインも先述の「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」と好対照な、袖山の低さが生むゆったりとした雰囲気が特徴的。
肩から袖にかけての稜線がなだらかで、袖口にも余裕があるのが分かります。
スッキリとしたボディは寸法上ほとんど差がないにも関わらず、文字通り肩肘張らない大人の余裕を感じさせる一着です。




↑袖山の低めな「TEC.3 MOCK NECK HALF SLEEVE T-SHIRT」

素材

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綿×キュプラの複合素材の裏面に、ストレッチポリエステル糸をプレーティングした機能素材を採用。
キュプラとは、植物由来のパルプから作られる再生繊維で、高級スーツの裏地などにしばしば使われるもの。
その魅力はシルクのような肌触りと、優れた吸放湿性です。
吸った汗を1か所にとどまらせずに、放射状に発散させる能力が高いので、ムレやベタつきを抑えた爽やかな着心地を実現します。



一方で伸縮性に乏しいのがキュプラの難点。そこでストレッチポリエステル糸です。
ところがこのストレッチ糸もなかなか曲者。
繰り返しの伸縮により糸が伸びきったりちぎれたりすると服地の歪みを招き、さらに切れた先端が生地から飛び出したりときれいに保つのが難しい繊維なのです。
これを解消するのがプレーティングという手法です。
一言で言うなら「裏面でのみストレッチ糸が編み込まれる」手法で、糸にかかる負荷が軽減されるのでちぎれや歪みを引き起こしにくくなるだけでなく、仮にちぎれて糸が飛び出してきても表面には出てこないので目立ちにくいという利点があります。




ベースの編み方はいわゆる天竺編みという最もスタンダードな組織素材ですが、プレーティングという生地特性を考慮した手法が光る素材であることが分かります。




縫製

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フライスの付け方は表にステッチが出てこないクリーンな仕上げながらも、袖付けには2本のステッチが平行に走る2本針での縫製を採用。
さらに、ボディの脇線と、裾の切り替え部には3本針で振りを渡らせ、3本のステッチとその間を交互に行きかう同色の糸が表面に現れた、かなりカジュアルな縫製となっているのが分かります。




↑表に縫い目のない首元の接合部に対し、袖の接合部には2本の平行なステッチが走る。




↑接合部の直上とその両サイドの、計3本のステッチが平行に走り、さらにその3本の間を同色の糸が渡っている。
表に見えるステッチが多ければ多いほどカジュアルな仕様だ。




このステッチワークは、生地がより地厚で頑丈な縫製が必要とされるスウェットやパーカーなどによくみられる手法。
それをあえてTシャツに取り込むことでカジュアルなデザインに仕上げています。




デザイン

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ラグランスリーブには袖山という概念はあまりなく、広いアームホールと袖口とが可能にする、ケープのような広がりあるシルエットが魅力です。




↑着心地も見た目もリラックス感たっぷりなデザインと言える。



また、このTシャツ最大の特徴はやはりヘンリーネックです。
イギリスのテムズ川上流にある「ヘンリー」という地域で開催されていたボートレースのユニフォームに端を発すると言われるヘンリーネックは、アメリカの労働階級の人々の目に留まると、デニムやミリタリーパンツとの相性の良さから爆発的にファッションアイテムとして広まっていきます。




↑ヘンリーレガッタと呼ばれる19世紀に開催されていたボートレース


さまざまな映画で俳優が着こなしていますが、いずれも「労働者」の役柄が多く、流行当初のデニムにサスペンダー合わせのワークテイストのイメージが根強いよう。
現代でもカジュアルなシーンに着用したいデザインです。


素材

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最初にご紹介した「TEC.3 COOL TOUCH SMOOTH T-SHIRT」と同じく、アメリカ産のスーピマコットンを贅沢に使用した肌触りの良い生地を採用。
エジプト綿とアメリカ綿の異種交配によって生み出されたピマコットンは、通常の綿よりも長い繊維が採取できる高級素材です。
そもそも綿繊維はその長さによって等級が分けられます。


長繊維綿 28mm以上
中繊維綿 21~28mm
短繊維綿 21mm以下




繊維とは糸にする前の段階の事。
繊維が長ければ長いほど、細ければ細いほど、しなやかで光沢のある糸を紡ぐことができます。
上記の表には記載されていませんが、長繊維綿のさらに上、繊維の長さで35mm以上ある、綿の総産出量の1%程度しか採取されない最高級コットンも存在します。それが、「超長綿」。




ピマコットンのうち、この超長綿に位置する素材こそ「Superior Pima(優れたピマ)」つまり、スーピマコットンです。
「HENRY-NECK RAGLAN T-SHIRT」は縫製やデザインこそカジュアルな仕様ですが、こだわりぬいたコットンで作り上げた、手抜かりないTシャツです。



↑カジュアルさと質の良さはトレードオフの条件じゃないことを教えてくれる。



ご紹介した3品番以外にもこだわりに満ちたTシャツを展開中!



縫製・デザイン・素材の、マニアの視点でぜひチェックしてみてください。