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October Collection

October Collection | NEWS | Aquascutum アクアスキュータム

October Collection

冷房を止め、窓を開けて、街を撫でる白風を部屋の中に。
運ばれてきたご近所の夕飯の匂いをかぐと、
なんだか少し、外に出てみようかと思う。

残暑厳しく夏物アイテムの手放せない日々が続いておりますが、
朝晩には心地よい風が抜けていくようになりました。
冷房の為に締め切られていた部屋が開け放たれる事で、
或いは、日向を避けずとも外を歩けるようになった事で、
外との距離が緩やかに近づいていく10月を、2025年のアクアスキュータムでは

・「旅」をテーマにした新ライン「TEC.3 trip」
・アウトドアブランド「NANGA」とのダブルネームアイテム

を用いて表現いたします。

TEC.3 Trip

01




「ファッションは独自性にこだわったりすると、
たちまち仮装や装飾に吞まれてしまう」

―ファッションデザイナー ココ・シャネル


COMPACT(簡素である事)
CONVENIENT(便利である事)
COMFORTABLE(快適である事)

多忙な現代人に贈る、3つのCを冠するリラックスコレクション「TEC.3」シリーズから、旅にフォーカスした新ライン「TEC.3 trip」のご紹介です。

デザイン的な装飾は極力省きながらもシルエットや素材、ワンポイントのアクセントにこだわった「TEC.3 trip」。
シンプルが生み出す洗練された雰囲気と、スニーカーや白シャツ合わせのアクティブな魅力が渾然一体となった、どこへ着ても恥ずかしくない、どこへでも着ていきたくなるシリーズです。
基調となるのはモノトーン。今では当たり前になっている黒の衣服ですが、ファッションにおける黒の歴史は一人の女性の影響が色濃いことをご存じでしょうか。

それまでは礼服用とされていた黒を、ファッションに昇華させたのは有名デザイナー、ココ・シャネルです。
フランス人のマドモアゼルが手掛けた数々の名品には、不思議と英国紳士の影響が見て取れます。
それは、彼女の恋多き人生に所以していました。




↑英国首相チャーチルとも親交があったココ・シャネル
出展:原題『Les Guerres de Coco Chanel』,監督ジャン・ロリターノ,配給オンリー・ハーツ
© Slow Production-ARTE France,



例えばイギリス軍大尉であり実業家のアーサー・エドワード・“ボーイ”・カペル。
修道院で幼少期を過ごしたとされるシャネルに教養を身に着けさせただけでなく、シャネル第一号店を開く際にも多額の援助をしたと言われ、マドモアゼルの人生を掬い上げたと言っても過言ではない人物です。
彼との親交で英国上流階級の男性とコネクションを持ったシャネルは、ドレスが主流だった時代に女性向けのパンツスタイルを構築。
女性の社会進出を促す精神性やスタイルを確立していったと言われます。

そして、英国のウエストミンスター侯爵ヒュー・グロブナーの存在も忘れてはいけません。
10年の交際を経て侯爵がシャネルにプロポーズをした際「侯爵夫人はたくさんいるけれど、ココ・シャネルは一人だけなのよ」と、求婚を拒否した逸話が有名ですが、趣味の狩猟に出かける際に彼が着用していたツイード生地のジャケットからヒントを得て、シャネルの女性用ツイードジャケットは生まれたと言われています。

数えればきりがないシャネルの名品の数々の中で、今回着目したのは「LBD」——リトル・ブラック・ドレスです。




LBDを纏うオードリー・ヘプバーン
出展:原題『Breakfast at Tiffany’s』,監督ブレイク・エドワーズ,配給パラマウント映画



1920年代前半は色にあふれた時代でした。
オペラ座を訪れたシャネルは、色とりどりで豪華絢爛な装飾の付いたドレスを身にまとった観客を目にし、「リムスキー=コルサフ(色彩感あふれる管弦楽曲やオペラを残したロシアの作曲家)とギュスターヴ・モロー(フランスの象徴主義の画家)を混ぜてパレットにぶちまけたようだ」と形容したそうです。
こうした価値観を元にマドモアゼルが生み出したのが、コルセットを捨て去りナチュラルな体の線を頼りとした、黒一色の膝丈ほどのドレスでした。
このシンプルがゆえに洗練された一着は、喪に服する際に着られるのはもちろん、アクセサリーや小物遣いによって社交パーティや夜の街など華やかなシーンでも支持されることとなります。


飾り気がなくてシンプルなもの。(CONPACT)
どこへでも着ていけて、どんなシーンでも着られるもの。(CONVENIENT)
ストレスを感じさせず、動きを阻害しない衣服。(COMFORTABLE)
を目指す「TEC.3 trip」にとって、黒はまたとないカラーです。
デザインもなるべくシンプルに仕上げ、どんなスタイリングにも落とし込みやすい衣服を意識しました。



オールブラックのスタイルの中で、シリーズ共通のクラブチェックカラーテーピングがアクセントに。



素材には洗濯への強度と防シワ性、速乾性や保温性能を意識した機能的なファブリックを採用。中でも注目なのがリバーダンボールのジャージー素材です。
生地の中心に空気を含み、段ボールに似た構造を持つことからこうよばれるテクニカルファブリックは、優れた保温性とタテヨコに伸びる2WAYストレッチが魅力。
それを編み地のジャージー素材で表現することで、座っている時も、立っている時も体に寄り添ってくれる、動きについてくる伸縮性を体現しました。
一般的に男性の下着の素材でしかなかったジャージー素材を、ファッションの世界に持ち込んだのもココ・シャネルであったと言われています。



リバーダンボールのジャージー素材を用いたカジュアルなセットアップ。



リラックスムード漂う素材と形だが、ラグジュアリーなレザーボストンバッグが似合ってしまうあたりに、黒の魅力を再認識させられる。






あくまで礼服の黒を意識したマットなブラックが、一段上の品位を表現します。







「AQUASCUTUM×NANGA」

02



「ナンガ・パルパット」はヒマラヤ山脈に聳える世界で9番目に高い霊峰で、別名を「人食い山」。
これまでかの山に挑み、リタイアを余儀なくされた登山者は数知れません。
困難にこそ立ち向かう。そんな思いを由来とする高機能ウェアブランド「NANGA」とのダブルネームも今季で3シーズン目を迎えました。
NANGAの理念に敬意を払い、今シーズンはよりチャレンジングなアイテムを展開いたします。



「クラシックとモダンの共存」

ヴィンテージウェアを原型とする衣服は星の数ほど存在しますが、それをモダンに仕上げようと思った時について回るのが「何を削ぎ、何を残すか」という点です。
イヌイットの防寒着にルーツを持ち、NANGAでも度々取り上げられている「アノラックパーカー」を原型とした「TEC.3 Trip: Mountain Parka」はそのバランス感覚に挑戦した一着です。

アメリカ軍服にも採用されるほどの強度と機能性を兼ね備えたアノラックパーカーの特徴は、寒さをしのぐ為の高密度生地とかぶり仕様・アウターとしてのビックシルエット・一体型のフード・全面に付いた大小さまざまなポケットに代表されます。

CONVENIENT(どこへでも着ていける便利さ)を掲げるTEC.3 trip流に再解釈したダブルネームアイテムは、まず、これを前開き仕様に再編。羽織としても使える勝手の良さをもたらし、サイズ感も本来のアノラックパーカーよりやや細身に仕上げ、現代の街中に馴染むシルエットを構築しました。
生地にはブランド伝統の「WINCOL」素材を採用。エベレスト登頂にも耐え抜いた生地で作製することで、魅力の耐久性を担保しつつ、ベンタイル素材の原型アイテムとは異なる軽やかな1着に仕上がっています。
一方で、防寒力の高い一体型のフードと収納力に優れたポケットの多さはそのまま継承。寝そべらずに立体的な空間を作るフードの美しさは一見の価値あり。
また、ともすれば野暮ったく見えるポケットの多さも配置とカラーリングを調節することで、シルエット美との両立に成功しました。




立体的なシルエットが美しいボディ一体型フード





現代風にリサイジングした都会的なシルエット







モノトーンをベースとした「Trip」シリーズにあって、NANGA定番カラーのネイビーとカーキブラウンの2色でご用意。
ブラックコーデに羽織る事でさらに洗練されたイメージとなる。

「吟味を重ねた軽量さへの挑戦」

構想の発端は「ドッキングできるダウンウェア」。先述のマウンテンパーカーとドッキングできる仕様で仕上げたのが「TEC.3 Trip: Inner Down」です。
それ単体で成立することはもちろん、マウンテンパーカーのみならずコートのインナーとしての役割を意識したダウンウェアは、軽量さにこだわる必要がありました。

一般的に衣服を軽く作ろうとすれば生地を薄くしていく他ありません。ところが、ダウンウェアで生地を薄くしていくと中の充填物が透け、単体で使用するにはそぐわない見た目となってしまいます。
重力によって充填物が下に偏り、それが透けて色の濃淡として表面にあらわれてしまったダウンウェアを、街中で見たことがある方も多いのではないでしょうか。そこで今季注目したのがフルダル糸です。
主にカーテンなどに使用されるこの繊維は透けにくさに定評があり、これを20デニールという繊細な細さの糸にして採用することで、軽量ながらもダウンが透けない一枚に仕立てました。
女性のタイツを想像すると分かりやすいですが、20デニールと言えば本来かなり透け感のある薄さ。それをフルダル糸で、それも裏面シレー加工という方法で高密度に織り上げる事で、衣服として成立させました。

それでもまだ1つ問題が。それは「TEC.3 Trip」のモノトーン表現です。
フルダル糸は構造上、濃色に染めるのが非常に難しい繊維ですが、単体としての魅力とインナーとしての軽量さを妥協せずに両立するにはフルダル糸を使う他はありませんでした。
国内繊維メーカーを吟味し、ようやく見つけた黒のフルダルは、「TEC.3 Trip」が目指す礼服を彷彿とさせるマットな黒を見事に表現し、そうして出来上がったダウンインナーは単体としての魅力にも溢れた稀有な一枚に仕上がりました。




試行錯誤の末に辿り着いた軽量且つマットな黒のインナーダウンは、安っぽさとは無縁の仕上がりに。





ポケットを付ける事で一枚着としても有用な一着に。






「TEC.3 Trip」シリーズでコーディネートを組めば、モノトーンの洗練されたスタイリングを構築できる。









コーディネート

03

「TEC.3 Trip」はモノトーンでのコーディネートが基本となる。
マットなブラック表現が美しいウエストコートはリバーダンボール素材のミニマルなパンツと合わせると◎
2WAYストレッチだからこその細身シルエットが自然な体のラインを拾い上げ、LBDの趣きを匂わせるスタイリングに。







NANGAとのダブルネームアイテムも基本はモノトーン合わせがキールック。
シンプルな装いに合わせる事でコーディネートの主役として活躍させたい。











通常のTEC.3ラインは濃色のグラデーションコーディネートがマンスリールックです。
ネイビーのセットアップ、チェスナットのインナー、黒のバックパック。
落ち着きのある色でのコーディネートで大人のオフィスカジュアルスタイルに。









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