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ダウンマニアの審美眼

ダウンマニアの審美眼 | NEWS | Aquascutum アクアスキュータム

ダウンマニアの審美眼


ファストファッションから有名ラグジュアリーブランドまで。
今や冬の街着として欠かせないものとなり、あらゆる種類がリリースされているダウンウェア。

その選び方やマニアならではの着眼点を、今季のプロダクトを用いながらご紹介!



ダック?グース?鳥の種類で違うダウンの質

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ダウンウェアを見極めるのにまず注目したいのは、やはり充填物。
表地と裏地の間に何が敷き詰められているかによってクオリティに大きな差が生まれるので、最初にチェックしておきたいポイントです。

綿素材が詰められたものを「中綿」、鳥の羽毛を敷き詰めた物を「ダウン」と呼んで区別しますが、双方ともにそれ自体が暖かいというよりは、体温で暖められた「空気の層」を洋服内に作る事で、外気の冷たさを感じさせないようにする機構です。
すなわち、この「空気の層の質」がそのままダウンウェアの質となるわけです。
綿よりも羽毛の方が多くの空気を含んでいるので質のいい層を作る事ができ、中綿の製品よりもダウン製品の方が基本的には高価となります。
さらに、ダウンの中でもどんな鳥の羽を使っているのかによって質が変わってきます。




引用:「つるねる 都留市の羽毛で睡眠の質を向上させるメディア」
https://tsuruneru.osusowake.life/goose-down






ダックはアヒルの羽、グースはガチョウの羽の事です。
その質や飼育頭数の関係で基本的にはダックダウンの方が安価となり、今現在多くのブランドで用いられているのはダックダウンとなります。

ダウンウェアの充填物は「ダウン〇%・フェザー〇%」と表記されるのが一般的ですが、この配分も重要。
ここでいうダウンとはダウンボール(羽毛)の事。主に鳥の胸部に生えていて、芯がなく、球状でふわふわとしています。
一方でフェザー(羽根)には芯があり、鳥の羽と聞いてイメージする形はこちらが近いかもしれません。
ダウンは水鳥にしか生えておらず、ニワトリなどの陸生の鳥からは採取できません。体温維持のために進化した羽毛は熱を外に逃がさない能力に長けているわけです。

ダウンの混合率は90%程度がアベレージとなり、そこから1%単位でダウンの割合が増えていく毎に、より軽く、より暖かい充填物だと言えます。
ただ、実はフェザーが少なすぎるのもよくありません。芯のあるフェザーには弾力性があるので、型崩れを防ぐ役割やダウンをかき混ぜる役割を担ってくれています(ある程度の弾力性が求められる枕やクッションなどの充填物には主にフェザーが使用されます)。
個人の好みもありますが、ダウンウェアの場合はダウンの比率が95~97%の製品は高品質と言って差し支えないでしょう。




出展:「株式会社クロップオザキ~いまさら聞けないファッション資材の事~」
https://www.cropozaki.com/blog/archives/3525




ガチョウはアヒルよりも体が大きく、ダウンの元となるダウンボールも大きいのが特徴で、その分多くの空気を含んでいます。
例えば同じ量(重さ)のダウンを敷き詰めたら、ダックダウンよりもグースダウンの方がよりふっくらとした仕上がりになります。つまり、より軽く、質の良い空気の層を作れるのです。

このふっくら加減を数値化したものが、ファッション好きな方はよく聞くであろう「フィルパワー」という値です。





よく聞く数値「フィルパワー」

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フィルパワー(fp)とは、1オンスのダウンがどれくらい膨らむか、という数値。フィルパワーの数値が高いほどたくさん膨らむ(=厚い空気の層を作ってくれる)事を意味しています。
目安としては600フィルパワー以上で各ブランドが売り文句として使い始める数値で、700以上で高品質を謳えるレベル。
800を超えると最高級クオリティのダウンである事を意味します。
登山ウェアブランドになると900~1000フィルパワー以上のものも扱いますが、現状900以上のフィルパワーを出すには人工的な加工や化繊の配合が不可欠となってくるので、天然物での最高レベルは800~850フィルパワーだと言われています。




↑同じ量のダウンを試験管に入れた際のフィルパワー別膨らみ比較
出展:メンズファッションブランドナビ https://mensbrand.rash.jp/downbrand/


と、ここまではダウンを調べるといろいろなサイトで紹介されている内容ですが、注意すべきはフィルパワーが高いからと言って必ずしも洋服として暖かいというわけではないという事。
洋服としてのダウンウェアを見極める際には、縫製上生まれてしまうコールドスポットに着目できると、よりマニアな目利きができます。

見落としがちなコールドスポット

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コールドスポットとは、ダウンウェアの中でダウンの力を十分に発揮できない部位の事。
具体的には、
・ダウンの偏りで層が薄くなっている部分
・フロントなどのファスナー部
・バッフルの縫い目
などが代表例です。

当然ながら、たとえフィルパワーの高いダウンを使用していても量が十分でなければ暖かくはなりません。
羽毛布団を使っていても、いつの間にか端の方に羽毛が偏ってきて足が寒い!なんて経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ダウンウェアも同じです。縫い目で仕切られた特有のモコモコの事を「バッフル」と言いますが、このバッフルの中が十分な量のダウンで満たされていないと、重力によって偏りが生まれ、層の薄くなったバッフル上部にコールドスポットを生み出してしまいます。
バッフルを触ってみて、十分に中身が詰まっているかどうか、いくつか触りくらべてみる事が大切です。



洋服の端部分や袖部などにもちゃんとダウンが詰まっているかが重要







可動域なのであえて少なくしている場合もありますが、跳ね返ってくる感覚が無いものは冷気を通してしまいやすい




また、意外と盲点なのがファスナー部。
ファスナーにダウンを詰める事はできないので、ここの処理はダウンウェアにおいて必須となります。
例えば、フロントフライに中綿を詰めてファスナーが露出しないように配慮したり、ファスナーの裏側に厚手の生地を添えて冷気の侵入を防いだりと、注目してみるとそれぞれの工夫があって面白い部位でもあります。





ファスナーを露出させない前立て







さらに裏からも厚手の生地を当てて冷気の侵入を防ぐ仕様







コンバーチブルダウンは中に取り外し可能な前立てが付属
ファスナー閉めでなく、ボタンで閉めるジャケット型ならではの配慮




ダウン特有のバッフルの縫い目もコールドスポットの代表格。
縫い目にはダウンを入れられず、生地も薄くなるので冷気を感じやすい部位です。
これの対応としてスポーツブランドなどに多いのは、そもそも表面にバッフルを作らない仕様のダウンウェア。
洋服の中で仕切りを作り、縫い目が表に現れないデザインを採用したものや、ミシンではなく圧着機によってバッフルを作り、仕切りを裏まで貫通させない仕様のものも目にします。

アクアスキュータムでは、表地とは別に高密度の裏地を張る事で縫い目が裏に貫通しない仕様を採用。
袖通しが滑らかになるだけでなく、縫い目のコールドスポット対策も兼ねています。
また、本体ではなく取り外し可能なライナーにダウンが入った「ライナーダウン」のウェアを選ぶのも選択肢の一つ。
ダウン量はそれほどいれられないので暖かさの面ではやや劣りますが、コールドスポットを生まない仕様なので安定したパフォーマンスを発揮してくれます。
「外を歩くのにダウンは必要だけど、通勤通学で乗り物に乗る機会が多いから、暖かさというよりは軽さや使い勝手の良さに比重を置きたい」という方にはぴったりなウェアです。








表には細かく縫い目を走らせながらも裏面には縫い目が見えてこない
高密度な裏地は外気が通り抜けるのを防ぐので暖かさを持続させてくれる







後付けのライナーダウンはコールドスポットを生みにくい





“おまけ”
雨対策
コールドスポットを生む原因の一つが雨。ダウンウェアにとって雨は天敵で、生地にしみ込んだりバッフルの縫い目から水分が侵入するとふわふわ感が失われてしまいます。
スポーツブランドやアウトドアブランドのダウンは撥水性能を持ったダウンが多いですが、百貨店に入っているようなファッションブランドで雨対策をしているのは実は少ないので要注意。
天候を気にせず毎日着として使うダウンを選ぶのであればぜひ押さえておきたいポイントです。

色・柄・型(かたち)、それが悩みどころ

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ここまでダウンウェアのクオリティについて書き連ねましたが、最終的に決め手となるのはやっぱりデザイン!という方も多いでしょう。
というわけで、25年秋冬にリリースされるアクアスキュータムのダウンウェアを一挙ご紹介!


暖かさならピカイチ! ロングダウン


品番:2205412108
Long Down Coat

¥154,000 (税込)

・ホワイトグースダウン使用
・充填物 ダウン95% / フェザー5%
・ダウンフィルパワー825fp
・撥水4級






細かくバッフルを区切る事で充填物の偏りを防止。
着丈が長く面積の広いロングダウンは今季のダウンウェアの中でも随一の暖かさです。
撥水の表生地に、ファスナーを隠す前立てにも中綿を詰めるなど、雨や雪にも強い本格防寒ウェアです。


ラグジュアリーな魅力漂うコンビネーションダウン


品番:2205412015
Combination Short Down Jacket

¥220,000 (税込)

・イタリア・ボントリオ社のコーデュロイ生地
・ホワイトグースダウン使用
・充填物 ダウン95% / フェザー5%









シーズンカラーであるベージュの温かみと、コーデュロイ×スエードの生地の暖かさがマッチした一枚。
実用的というよりはラグジュアリーさに比重を置いたダウンです。
それでも充填物や縫製、デザインはダウンの要点を抑えたさすがの作り込み。


新リリース!ジャケット型なのに暖かいコンバーチブルダウン


品番:2205412308
Convertible Down Jacket

¥143,000 (税込)

・ホワイトグースダウン使用
・充填物 ダウン95% / フェザー5%
・ダウンフィルパワー825fp
・撥水4級






バッフルを握った際の跳ね返りが心地よい、お手本のようなダウン量が魅力のコンバーチブルダウンは、ファスナーの付かない釦止め仕様。
それだけに、コールドスポットとなりやすいVゾーン部には専用の前立てを付属。
端正な顔立ちと暖かさを両立した新提案のダウンウェアです。


ダウンライナーが嬉しい定番コート「SHOREDITCH」


品番:2205451905
Shoreditch

¥143,000 (税込)

・グースダウン使用
・充填物 ダウン95% / フェザー5%
・ダウンフィルパワー約700fp
・撥水2級









ダウンウェアのカテゴリにあって高水準の撥水性を備えたライナーダウンコート。
多くのライナー付きコートは袖が寒くなりがちですが、ポリエステルの中綿を袖にも入れる事で暖かく過ごせる優れもの。
毎年定番の人気コートです。


アウトドアブランド「NANGA」とのダブルネームアイテム
TEC.3 Tripシリーズのマウンテンパーカー×インナーダウン


品番:2205412010
TEC.3 Trip:Mountain Parka×NANGA

¥104,500 (税込)

・撥水2級
・防風(1.6㎝3)

品番:2205412011
TEC.3 Trip:Inner Down×NANGA

¥55,000 (税込)

・グースダウン使用
・ダウンフィルパワー815fp
・充填物 ダウン95% / フェザー5%
・撥水4級






エベレスト登頂にも使われた独自素材「WINCOL」を使用したアウターに、高フィルパワーのインナーダウンをドッキングさせればハイテクダウンウェアに姿を変えます。
アウトドアブランドとのダブルネームだからこそ追求できたワンランク上の機能性が魅力。

掲載の商品以外にもこの時期楽しめるアイテムが目白押し!
ぜひご覧ください。