
The Letter VOL.2
The Letter
「 レターについて 」
「贈りたくなる、上質」を掲げて
The Letter
「 レターについて 」
「贈りたくなる、上質」を掲げて
AQUASCUTUM デザイナー小島
今、私たちが掲げている「上質」とは、良い素材であるとか、仕立てが美しいといった見た目の価値だけでは語られないところにも存在しています。
例えば、その服がどんな背景から生まれ、どんなストーリーがあるのかを知ること。
糸はどこから来たのか? どこで造られたのか? 新しい着こなしは?
そんな小さなストーリーも楽しめることが、私たちがお洋服を通して伝えられる上質さの一部だと考えています。
柄や色、素材にはすべて理由があり、小さな物語があります。
そしてそれを知ったとき、服は単なる“モノ”ではなく、誰かに語りたくなる存在へと変わってゆく。
「これね、こんな話があるのよ」——そう伝えたくなる気持ちが、服を長く愛し、人へとつないでいくのだと思います。
理解が深まり、装う時間そのものが豊かになる。それこそが、私たちの考える「贈りたくなる、上質」だと考えます。
このレターが、そんな小さなストーリーを手渡すためのものになれば幸いです。
「 イタリア生地メーカー LANIFICIO CAMPOREのツイード 」
カンポーレ社は、 1963年に設立されたイタリア・ビエラ(北西部ピエモンテ州にある都市とその周辺地域)に拠点を置く老舗生地メーカーです。
紡績から織布、染色、仕上げまでを一貫して行い、卓越した高品質な素材メーカー。
日本では、メンズスーツやレディースのツイード素材として高く評価されています。
伝統的な織物技術とイタリアらしい現代的な色彩感覚を融合させた、豊かな表情と上質な生地を世界に発信し続けています。


2026年春に使用したのは、陽だまりのように温かく華やかなミックスヤーンツイード。
主役は、柔らかく輝くイエローと瑞々しいオレンジ。さらによく見てみると、ふっくらとした生成りの糸の他に、茶色の深みや、水色の爽やかさ、ピンクの可憐さが繊細に散りばめられているのがわかります。
様々な表情の糸が重なり合うことで生まれる豊かな奥行きと陰影は、イタリアらしい生地デザインと熟練の技がもたらす逸品です。
纏うたびに表情豊かな華やぎを感じる一着を、ぜひお手元でご堪能ください。
「 イタリーヤーンについて 」
Industria Italiana Filati社は初代オーナーGuido Lucchesi氏がイタリアの生地を輸出する商いを1897年にスタート、その後1962年 Industria Italiana Filati社を設立し、セーター用 意匠糸を開発して世界中に輸出を開始しました。
近年ECO素材に力を入れており、リサイクル糸をはじめボタニカル染めも人気です。


サスティナブル ビスコースを使用したビスコース / ポリエステルの糸です。
イタリア糸ならではの色のミックス感と光沢が特徴の糸となり、柔らかく落ち感のあるエレガントな糸をさらにリリヤーン加工し、ふっくらとした糸に仕上げています。
リリヤーンとは、糸をひも状に編みながら作るファンシーヤーンです。(昔リリーヤーンを編んだことがある方もいらっしゃるかも?)
中心が空洞になっている為、見た目よりも軽い仕上がりになるのが特徴です。
*サスティナブル ビスコースとはFSC認定を取得したセルロース繊維を元に作られたビスコース。
「 ギザコットンの話 」
ギザコットンは、コットンの中でも有名な品種のため、聞いたことがある方もいるかもしれません。
エジプト綿の中の品種で、エジプト綿は、世界三大コットンとして知られています。
そんなエジプト綿の中でも、代表格として知られ、希少性がとても高い綿と言われています。

ピラミッドで有名なエジプトの北部にあるナイル川流域にあるギザ地方で作られる綿花です。
ギザコットンの繊維の長さは、「長繊維綿(繊維長28mm以上)」に該当し、種類によっては、長繊維綿の中でも特に長い繊維長を持つ「超長綿(繊維長35mm以上)」に値するコットンもあります。
綿は一般的に繊維長が長いほど高級品として扱われますが、 その中でもギザコットンは繊維の長さや産地の特性などからも貴重性の高い高級なコットンとして知られています。

<シルクのような滑らかな肌触り>
ギザコットンの特徴としてまず挙げられるのは、「とろりとしたしなやかな風合い」です。
綿ロウ成分と言われる植物性の油脂を豊富に含んでいます。
その油脂のおかげで、とろみのある滑らかで、カシミヤのような風合いに仕上がります。
<繊維長が細く長くて軽く、強度が高い>
繊維長が長く均質で、さらに細い繊維のため、軽いながらも強度が強いことで知られています。
また、軽くて耐久性にも優れています。
さらに光沢感が美しいことでも有名で、「白いゴールド」などと呼ばれることもあります。
<優れた吸水性>
ギザコットンは水分の吸収にも優れています。
水分を含み、保持する力もあるため、美しい色合いに染めることが可能です。
この水分保持性を活かして、高級タオルや寝具など幅広い日用品にも使用されています。
「 桐生産 オリジナルチェック素材 」

群馬県・桐生は、清らかな渡良瀬川と桐生川に抱かれた古都。千年以上続く織物の町として、「西の西陣、東の桐生」と称されてきました。
江戸から明治にかけて絹織物の技を磨き、今も染色・撚糸・織布が一体となった稀少な産地です。
その土地ならではの澄んだ水と職人の技は、伝統を守りながら新しい表現を受け入れ、現代のテキスタイルにも息づいています。


生地の最終整理加工の様子

カラーを紙でシミュレーションしたものと、出来上がりの生地を確認

出来上がった生地のキズや汚れを目視で確認
2026年春夏では、桐生の工房にて色糸を巧みに組み合わせたオリジナルチェックを織り上げました。
歴史ある産地が育む確かな技と、モダンな感性が交差する美しい素材です。
アクアスキュータムの洋服がどんな背景から生まれ、皆様のもとに届いているのか。
このThe Letter を通して、柄や色、素材など洋服一つ一つに込められた想いをお伝えしたいと思います。
The Letterは3へつづきます。







