September Collection
September Collection
小さく、ひたひたと聞こえる秋の足音。
新シーズンの訪れを告げる月。
アパレル業界の一年は早いもので、9月には秋冬の最新作がお目見えします。
まだまだ暑い日が続きますが、新シーズンテーマを色濃く体現する立ち上がり期のアイテムは要チェックです!
アクアスキュータムが掲げる今季のシーズンテーマは
「London’s Iconic old and modern Architecture」
(伝統とモダンさが融合したロンドンを象徴する建築物)
9月はこのテーマを
・チェスナットブラウン ・イングリッシュレッド ・ロンドンブルー
の3色を中心に据えて体現します。
チェスナットブラウン
01

2023年、イギリスの建築家デイビット・チッパーフィールド氏が、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞。
以来、ますます注目度が上がっている英国建築界ですが、彼は「建築は芸術と科学の融合」とする巨匠、サー・ノーマン・フォスター卿に師事したことでも知られています。
フォスター卿はSDG‘sがこれほど浸透するよりもかなり前の段階から、持続可能な世界設計と自然との調和を謳った「宇宙船地球号」の思想を汲んだ高名な英国人建築家です。
『この地球の資源は限られており、そこに住む人間は地球という宇宙船に乗り込んだ乗組員である』
バックミンスター・フラー著「宇宙船地球号操縦マニュアル」より
限られた資源の再利用と自然との調和の観点から、近年のイギリスでは、取り壊された過去の建築物の素材を新たな建築の建材として取り入れる運動が盛んになっています。
そこで注目されているのがチェスナット素材。チェスナット=栗材の事で、耐久・耐水性に優れて腐りにくい性質から、イギリスでは中世以降、柱や梁の建材として重宝されてきました。
栗毛というと一般には赤茶色を想像しますが、建築材としての栗材は経年変化によって非常に深い茶色を表現し、色むらの少ない美しい光沢を湛えます。

長年生活を支えてきたチェスナットの深いブラウンを表現したスーツ
この栗材からインスピレーションを受け、今季の目玉となるスーツが登場しました。名前はそのまま、チェスナットブラウンスーツ。
イタリア・デルフィノ社の生地を用いたブラウンは、傍目にはほとんど黒に見えるほど深い色合いが特徴で、さらに高品質繊維由来のラグジュアリーな光沢感が、長年建物を支えてきた栗材の味わいそのものを表現しています。
また、仕上げに蜜蠟を用いる事で、化学薬品を用いた場合の半分の水量で生地を生産することができ、サスティナビリティの観点からも英国の現代建築が持つ理念と通じる一着に仕上がりました。
今季はここにイングリッシュレッドのネクタイを添えたコーディネートを推奨します。

若い栗色を表現した赤茶色のセットアップもリリース

ブランドを象徴するクラブチェックに含まれるベージュも、切り出されて間もない栗材の色に通じるものがある
イングリッシュレッド
02

ロンドンの街を歩いていると、そこここに散らばる赤に目を奪われます。
2階建てバスの赤、地下鉄の看板の赤、掲げられたユニオンジャック、そして、テレフォンボックスの赤。
これらの色にはワインレッドやカーマイン、ヴァーミリオンにユニオンジャックレッドなど固有の名前がありますが、英国にあふれる赤は総称してイングリッシュレッドと呼ばれます。
中でもテレフォンボックスや郵便ポストの赤は印象的で、これはジャイルズ・ギルバート・スコットという建築家によって手掛けられたデザインです。
今では電話のみならずATMや観葉植物が備えられたものもあり、街の生活に根差しながら象徴的に彩る芸術品としての役割を担いつつあります。
ここで先のフォスター卿の理念をもう一度。
———建築は芸術と科学の融合。

英国に点在する赤を、9月はインナーアイテムやネクタイなどのアクセサリーズで表現します。
特に、ブランドロゴをユニオンジャックカラーでデザインしたプリントシャツ、きめ細やかな編み地で繊細な色表現を施したモックネックニットなどはその代表と言えるでしょう。
コーディネートの差し色として印象的に用いることをお勧めします。

ワインレッドを用いたオンブレチェックシャツ

ユニオンジャックカラーでブランドロゴを表現した、今季を代表するプリントシャツ

きめ細やかな編み地が実現する、奥行ある色味が特徴のモックネックニット
ロンドンブルー
03

ノーマン・フォスター卿は、現存するイギリス勲章の中で最高位とされるメリット勲章を授与され、一代貴族の名誉に預かる大変偉大な建築家です。
中でもハイテク建築と呼ばれるジャンルのパイオニアであり、ボルトや配管、構造部材をあえて外観に露出させることで、最新技術と構造をデザインとして取り入れた様式は息をのむ美しさ。
ドイツ国会議事堂の「空の本会議ホール」や「スタンステッド空港」、大英博物館の中庭「グレート・コート」など、作品をあげれば枚挙にいとまがありません。
霧の都と呼ばれるロンドンの曇天から、時折覗く広大な青空に至るグラデーションは「ロンドンブルー」と呼ばれ、ロンドンブルートパーズという、その名を冠する宝石も存在するほど象徴的な色です。
フォスター卿は、この美しい空からの採光に着手した人物でもあります。
多くの建築家が窓からの採光を取り入れる中、彼は天井から降り注ぐ光にこだわりを持ち、結果、建物にいながら空を望める空間が完成するのです。


澄み渡る空を飛翔するワタリガラスをイメージしたシーズンイチオシのプリントシャツ


白い雲に落ちる影は黒ではなく青
深いブルーが特徴的なフードブルゾンとセットアップも9月にリリース
コーディネート
04
最後に、アクアスキュータムが提案する9月のシーズナルコーディネートをご紹介。
BUSINESS


ビジネスシーンではやはりチェスナットブラウンのスーツがキールック。
イングリッシュレッドのタイ、あるいはブラウンのグラデーションで構築されたスタイルが大人の色気を感じさせます。


ロンドンブルーの深い色合いで表現したチョークストライプのダブルスーツも店舗限定で展開。
ドットのタイと合わせた「伝統とモダンの融合」というテーマを体現したスタイルでローンチ。
BUSINESS&CASUAL


ビジネスよりももう少し砕けたビジカジ兼用のシーンでは、ロンドンブルーを用いたジャケットスタイルでも、インナーにはチェスナットブラウンのカットソーをご提案。

スプリットレザーを配した高級感漂うバックパックを背負うことで、伝統色を使いながらも現代的なビジネススタイルを構築します。
CASUAL


切り出して間もない栗材に通じるクラブチェックシャツと、深いインディゴブルーのデニムパンツを合わせたアイコニックなコーディネート。
クレイジーパターンのシャツはぜひアウターとして用いていただきたい。
そこに、スプリットレザーを配した黒のボディバッグを合わせる事で、都会的なエッセンスを持ちながらもキメすぎないスタイルをご提案します。


ロンドンブルーのグラデーションを用いたコーディネート。
深い青が特徴的なフードブルゾンにワタリガラスのシャツを合わせたシーズンテーマをよくあらわした佇まい。
季節が更けた時にはスカイブルーのニットを挟み込むことで、寒色ながら暖かみあるコーディネートを組めるのも魅力。


イングリッシュレッドのオンブレシャツとネイビーパンツを合わせたコーディネート。
反対色である赤と青を明度に気を遣って組み合わせる事で、双方を印象的に引き立たせている。
掲載の商品以外にも25年秋冬のアイテムが続々入荷!
ぜひご覧ください。