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The New Bogart この秋冬、数量限定で販売予定のトレンチコート「The Bogart」について、 メンズウェアのトップデザイナーであるトーマス・ハーヴェイ氏が語りました。

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ハンフリー・ボガート氏のご子息であるステファン氏と、ハンフリー・ボガート・エステートとコラボレーションして新しいトレンチコートのスタイルを開発することについて話し始めたとき、わたしは既に伝統的で大きなコートをこのコレクションに取り入れることを考えていました。
お客様の中には、私たちの店舗を訪れ、多くのブランドのトレンチコートが、体を覆い保護するアイテムというよりは、細身でタイトなファッションアイテムとして提供されている事実にがっかりしたと話してくださる方が多いのです。

もともとトレンチコートは、着る人を苛酷な環境から守るという目的のためにつくられたものであり、また簡単にスーツの上から羽織れるような大きなデザインが特徴でしたが、現在の多くのブランドではそのような起源とはかけ離れたトレンチコートが提供されています。

もともとは制服の上から着用されていたので、トレンチコートという名が示すとおり、第一次世界大戦で提供されました。そのため、トレンチコートのディティールには機能性を重視した当時のデザインが多く残されています。例えば、ベルトのDリングは地図や、一説によると手榴弾を下げるために使われたリング。また胸のガンフラップはライフル銃を撃ったあとの衝撃から体を守るため、カフスストラップは水が袖口から入らないようにするため、エポレットはサーベルを固定するための機能をもっていました。

現代では、登山服やスキーウエアなどは、トレンチコートのような目的でデザインされた数少ないモデルでしょう。

しかし時を経てオリジナルの精神は少しずつ損なわれ現在に至ります。

たいていトレンチコートは機能性よりもスタイルが優先され、天気に対するシールドになり得ません。しかし20世紀初期から中ごろにかけては違いました。当時このコートは体を保護する機能を失わずに、しかもスタイリッシュになりえたのです。

これが、「The Bogart」の見た目と雰囲気です。
わたしは「The Kingsway」の型を探し回りました。「The Kingsway」はハンフリーボカート氏が着用したスタイルで、この「The Bogart」モデルのベースでもあります。

ポケットの位置とサイズはそのままに、袖はレーガンのスタイルに戻し、ベルトの位置もそのままにしました。おそらく最も重要なこととしては、大きくてクラシックなロング丈のコートであるということ、その丈はおよそ120センチです。

新しくなったところといえば、例えば生地があります。特殊加工技術により綿の混合素材でありながら撥水強度があり、しかも耐久性もあります。

そして、現代人の骨格が当時より少し大きくなっていることを考慮して型を調整しました。しかし全体のデザインに関していえば、「The Bogart」はオリジナルの「The Kingsway」に非常に近いといえます。

着用すると、本物のスケールとドラマを感じるでしょう。1940年代から60年代の象徴である映画や、映画スターが着用していたことで知られる、すばらしいトレンチコートの感覚がよみがえるでしょう。そのようにトレンチコートを思うとき、最も抜きん出た存在といえば、ハンフリーボガート氏自身なのです。

Words:Thomas Harvey



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